「”自然界”飼育」について


ヒロセペット苫小牧店を、苫小牧「小さな大自然の店」に改装しました。
「生きもの飼育」の基本的発想も改めました。
”自然界から謙虚に学ぶ”という精神から
多くのことを気付かされました。
自然から学んだ結果、
省エネ・省力・節水の「自然界飼育」に至りました。
店づくり、まだまだ途上ではありますが、
ぜひ一度ご来店ください。お待ち申し上げております。

飼育の世界に”自然界”の機能を大胆に取り入れることは、あなたにも可能です。水槽飼育は、大自然のしくみを取り入れるのに最適です。自然界のしくみを取り入れた水槽飼育は、自然な環境になることで、魚や水生生物が健康で幸福に暮らすことができ、美しい水中生態系を再現して私たちの生活アイテムとしても素晴らしい方法です。

子どもと一緒にお祭り金魚を持ち帰るのに、まだ開いていたホームセンターで金魚飼育セット水槽を買ってきました。小さな濾過器が着いていましたが、水はすぐに濁ってしまい、けっこうそうじがたいへんです。なんとかエサも食べて生き延びたのですが、一度にたくさん水を替えないように注意を聞いていたので、少しずつ替えて、目詰まりした濾過器の差し込み式交換濾材も買ってきて交換してみましたが、けっこうたいへんです。

ヒロセペットご来店30代女性

”自然界”飼育は水を人が管理せず

自然界飼育では、水管理はヒトではなく、バクテリアたちが行います。大自然の中では地中のバクテリアたちが水を浄化し、山の土に染みこんだ水は、谷川にキレイな湧き水となって湧いてきます。この仕組みを水槽でも再現してしまえば、谷川の渓流のように水はいつも湧き水が流れてキレイで、岩肌にコケが生えているだけなのと同じように、あなたは、週1回程度ガラス壁をスポンジ掃除するのと、蒸発分のわずかな水を日々足すだけで、水槽管理ができてしまいます。

大事なのはバクテリアの住みか

自然界飼育でいちばん大事なのは、通水させる水底に敷く、何千粒もの顆粒状の土の濾材です。ギリシャ神話では水の神様はアクアリウスです。自然界で清らかな水を生み出す役割は、多種多様なバクテリアたち。この住みかに最適な場所は、「赤玉土」のような粗い空間ではできません。

底面濾過は使ったことがありません。床土(ソイル材)は使っていますが、底面濾過をしてしまうと、土の養分が抜けていくのが心配だし、地中に水が常に通っていると植物の根はうまく茂るのでしょうか。

ヒロセペットご来店のお客様(50代男性)

自然界の地中は水が動いています

数日間雨が降らなかった大地に雨が降った際や、水気が切れた植木鉢にジョーロで水を撒いたとき、地中に吸い込まれていく水の通水速度は初速では毎秒3~10cmもの速度になります。

このような速度で水が通っていくことで植物の根が傷ついたり、また、肥料分が地中深くに逃げ去ってしまうことはありません。それは、土の「粗い空間」を水が高速で、細かな空隙には水がゆっくり通るからです。

水槽の底面循環では、水深20cmくらいの水槽を例にとると、仮に5分程度で水槽全体の水が水底を通水する場合、毎分4cmの速度となり、毎秒0.67mm程度しか水が動いていません。水槽の中の魚たちが「水が吸い込まれて入っている」とほとんど感じることのない程度の速度です。

さらに、きょう例に挙げた、「乾いた土に雨が降るとき」と比べると、100倍前後も遅い速度ということになります。

底面濾過で肥料が消えるとか水が流れて根に悪いと考えるのは単なる思い込みです。毎秒0.67mmも水を動かさないようにするとしたら、庭に雨が降っても植物が枯れたり、植木鉢に十分な水やりをするために、ゆっくり与えようとして少量ずつ霧吹きしながら、1時間以上もかかる計算になってしまいます。

そもそも、自然界の地中では、染みこむ雨水だとか地下水の流れなど水は常に動いています。私たちのからだの毛細血管のように、栄養や酸素など必要な物質を、植物の根や土中のバクテリアたちの生命のために運んでくれるのが、地中の水の動きです。